夢の中でわたしは古代中国の小国の王様をしていました。
あちこちで覇権争い、領土争いの戦争を繰り広げていました。
仙人のような老人が、ある日わたしの元に現れて、小さな木の実をくれました。
黒い木の実は男性に、赤い木の実は女性に変身できるそうです。
「これをうまく使えば、あなたは中国全土を統一できるでしょう。
ただし、注意しなければいけないことがあります。
あなたが覇権を手の中に納めたそのときの性で、残りの一生を過ごすのです。
もしいよいよ戦争が終わりそうになったら、性を変える好機を逸しないようにしてください。」
わたしは木の実を使って、あるときは大国の王様の側室や女官になり、情報を得たり、
自国と同盟を結んでもらったりして、また、あるときは勇猛な戦士となりました。
最後の覇権争いの戦争のとき、わたしは女として、戦場にいました。
女兵士だと思って大の男たちを油断させるためでした。
いよいよ自分の国が勝ちそうな状況になり、最後の敵国の王様との一騎打ちで、
いいところで木の実を食べて男になろうと思っていたときに、腹心の家来がわたしの身を案じて、
敵国の王に遠くから弓を射てしまいました。
中国全土を統一、覇権を手中に収めてしまったのです。
わたしは女でした。
仙人の言葉を思い出して、もうちょっとはやく男になればよかった、と後悔しました。
男なら指導者として楽そうだからです。
女だとすると、女王にたいして、家来や隣国の連中はどういう態度をとるのだろう。
うまく統率ができるだろうか。
結婚をして、男性に守ってもらおうか。
いや、どこかの国の王子と結婚すると、今度はその国がこの領土や財産を狙って、
心休まるときがないだろう。
ああ、失敗した。男で覇権をとったほうが楽だった。
そうあれこれ考えているところで目が覚めました。
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