夢の中で浦島太郎の公案をいただきました。
海神(わたつみ)の娘(乙姫)はなぜ浦島子(浦島太郎)に玉手箱を手渡したのか
700年の間夫婦としていっしょに暮らして、夫が
「突然ここにきてしまったので両親がさぞ心配しているだろう。
一度家に帰って結婚したこと、いま幸せなことを知らせたい。」
そういうと、篋(くしげ・玉手箱)を手渡して、
ぜったいにこれをあけてはならないと言うのだけれど、
そう言われて、帰ったらまったく風景が変わっていて、
知っている顔ひとつなかったら、あけたくなるのが人情というもの。
それをわかっていて、なぜ手渡したのか、という公案。
万葉集の記述では、玉手箱を開けて、あっという間に年老いて浦島子は死んでしまいます。
恋愛関係にあった女の子が気がかりで帰るというのでもなく、
海神の娘との生活に飽きたというのでもなく、
幸せに暮らしている報告を両親にして、安心させたいというだけなのに
なぜ玉手箱を手渡されるのか、皆さんはどうお考えになりますか。
わたしはまず、次のように考えました。
玉手箱の中にあった老いと死は実はすべての人間がこの世に生を受けるときに
持たされるギフトの象徴なのではないか。
老い、死、病気、苦しみ、憎悪、執着、醜さといったさまざまな「死すべき存在」の
特質をもたされてこの世にやってくるのが人間だと。
でもそれではなぜ神様はそうした忌むべきもの、望まないものを
人間に持たせるのでしょう。
またはなぜそうしたものを忌むように人間をお作りになったのでしょう。
そう考えるとまたあの結論に行き着くのです。
神様のされることに疑問や批判をはさんではならない。
そしてそのことが次のことを思わせます。
神様の傍を離れようということは、たとえ両親に安心させたいという
願いであれ、いかなることによってもあってはならないのではないか、
それがそもそも裏切り行為であり、言い出した時点でお別れと死が必定だったのでは
ないかと。
其処の中では楽しく、飢えも寒さも病も老いもないのに、
一度そこから出ると死や苦しみがある・・・
創世記のエデンの話を思い出します。
そこからはぜったいに出てはいけない、神様の傍から離れると不幸、
それが公案の答えなのでしょうか。
わたしはまだこの公案についてはしばらくあれこれ考えてしまいそうです。
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