学生時代に、どこからどう見てもパーフェクトにわたしの理想な女性が
友人にいた。
学生時代なんて、まだ若くて美しくて、どんなにかわいい子だって
身の程知らずだったり、きつい面があったり、裏表があったりなにかあるもの。
だけど、彼女にはまるでそういうものがなかった。
大和撫子ときいて、人が連想するどんなに美しく理想的な女性も
ぜったいに彼女には及ばないとまで思っている。
だって、彼女を経験しないと、あそこまでゆかしい女性がいるなんて
誰も知らないから。
その彼女の夢をみた。
にぎやかなライブハウスで、わたしは後ろのほうの席にいた。
前のほうにメンズエッグのモデルみたいな男性がいて、大きな口をあけて、
顔いっぱいで笑っていた。
休憩のときに、その男性のところに女性がきて、頭を下げて隣に座ろうとした。
それが学生時代の友人だった。
もう連絡も取れず、一生会えないと思ってたので、目を疑ったけれど、
そこにいるのはまぎれもない彼女だ。
「こんどうさゆりさん!なぜここに?」
と、周囲の人がみな振り返って、
「こんどうじゃないよ~。
XXさんだよ!」
「こんどうは旧姓で、結婚していまはXXになったんだよ!」
と言う。
「そそ、僕と同じ苗字なの」
とメンズエッグのモデルみたいな男性がにこにこして振り返って言った。
「義理の弟さんかなにかですか?」
大和撫子の彼女の横にはなんとなく和服が似合う、国家公務員系の
堅そうな男性を想像した。
「ちがうよぉ。僕の嫁さん!」
さゆりさんは顔を赤らめている。
びっくりしたけれど、それはこの上も無い、とても素晴らしい選択だと感じた。
こんな控えめで慎ましやかな大和撫子が、絵になる和風な男性とくっついたら、
「お茶をもってきなさい」
などと指図されたりして、一生思うように生活できないのではないか。
この男性ならきっと「お茶飲みたいね、咽喉渇いちゃった。」
といって、彼女の分まで煎れてくれるだろう。
それはお茶だけじゃなくて、生活や人生のいろんな面で違ってくる。
この博多人形みたいに美しくしとやかで大人しい女性が
この男性の横で幸せそうに、まだ娘のように生きていることが嬉しくなり、
彼女の選択に敬意を感じて、ますます彼女が好きになった。
そんな夢だった。
実際のさゆりさんは大学で一つ年上の同じ学校の学生さんと付き合いだしたまでは
知っていたけれど、その後連絡が途絶えてしまった。
幸せだろうか。
ほんとうにもう一度逢いたい。
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