オペラの舞踏のエキストラを頼まれた。
急に1名必要になったという。
食事も取らずにいそいで団員の乗っているバスと落ち合って乗る。
どこで公演するのかもしらない。
リハ、ゲネプロがあるし、アラビックな手の動きができれば、
あとは他の人をみながら動けばだいじょうぶという。
会場についたら、団員は2階のフレンチのレストランのブッフェで
すみやかに食事を済ませるようにといわれる。
いくと、まだ数種類のパンしかない。
「お料理が出てくるまで待ってる時間はないから、
好きなパンをトレーに載せて、このデコレートされたプチケーキを載せて
ここに立ってると、お席に案内してくれるから。」
手際よく団員が教えてくれたのでそうする。
後から来た人も同じようにする。
その人はいつのまにか消えていて、ひとりで食事を取る。
知らないおばさんが「そろばんがほしいの。そろばんどこかに売ってないかしら?」
と話しかけてくる。
「そろばんですか・・・。ここにはないだろうけれど、
近くにダイソーとか100円ショップでもあれば置いてあるかも。」
と答えると、さっき教えてくれた団員がやってきて
「あなたは本番までにきちんと覚えないと。
わたしが案内するわよ。」
という。
「わたし、そろばん売ってるお店わかるから、案内します。」
と、そのおばさんを連れて行く。
この会場周辺、何度もきてるのかしら?そろばん売ってるお店なんて
よくすぐわかるなあ。
リハ。
全員一列にならんでルルベ、パドゥプレで手を白鳥のように拡げて
アラビックな指の動きをさせながらアンオーの高さに。
列が動き出した。
わたしの前の人の動きを真似てたら、手が2重にみえる。
もうひとつ手がある。
美しいほうをまねる。
曲が終わった後に前の人が「ちょっと動きが違うわね。
わたしあんな指の動かし方してないわよ。」という。
「手が見えたので、そのままの動きを真似したんですけど。」
と答える。
あの手はなんなんだろう?
2つの列に分かれて手をくねらせて渦巻状に進む。
「そこで手をあげない!
もうっ!
あなたを代わりに呼んだのは団員が急に事故で亡くなったからなの。
事故で死んだXXさんもそこで手をあげてたのよ。
幽霊がいるの?笑」
笑えない。
だってほんとにすっと前に出て踊る人がいて、
まねるとその人は手をあげてるんだもの。
最後のゲネプロのときに、2つ輪ができたひとつの中に
「いっしょにきて」と前の人がいって、
2人がからむ舞踊をいうがままに相手した。
みんな沈黙した。
「XXさん練習中にやってたわ。幽霊?」
とりあえずまだ覚えてないんだから混乱することはしないでほしいけど、
さっきのパンとかそろばんとか、代用のわたしに親切にしてくれる
優しい人だと思ったところで目が覚めた。
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