漫画に出てきそうな貧相な風袋で後頭部まで禿げ上がった
おじさんが酔ってもないのにご機嫌で千鳥足で歩いていた。
通りすがりのわたしに話しかけてきて、
あまりちゃんと相手をしてないのに
後をついてくる。
わたしたちは大きな川にかかる橋の上を歩いていた。
下には大きなボートがあって、凄みのある黒人が
乗っていた。
知らない人に渡されたと言って、ピストルを持っていた。
「本物じゃないだろうけどね、
いま時のモデルガンはたいしたもんだね」
そう言って、浮かれながら下の川に何発か撃った。
すごい音はしたけれど、空砲だったみたいで
怪我人などは出なかったようだ。
ボートの上の黒人が見上げて、おじさんをにらみつけ、
ボートを川岸に停めるよう指示して、
降りて来いと指で合図をした。
周囲は人だかりになった。
おじさんはどうしていいかわからないようで
当惑した顔をしたまま、突っ立っていて、
橋の下に降りようとも、逃げようともしない。
わたしはあせって、とっさに大きな声で言った。
「逃げたら?」
おじさんは1,2歩逃げようとして、
わたしに背を向けて、
また立ち止まって、
それからピストルをこめかみに当てて、
撃って倒れた。
一瞬、死んだ振りをするつもりなのかと思ったら、
この弾は実弾だったみたいだ。
見る見るうちにあたりには大量の血が流れてた。
わたしは「安楽死」はありだなと思った。
あの黒人にさんざん殴られて蹴られて、
吊るされてリンチされてから足を縛られて
海に投げ込まれたりすることを考えたら、
痛みは一瞬で死んだほうがいい。
でもまた考えた。
これはほんとうに自殺だったのだろうか?
弾が入ってないと思って、愚かだと思うけれど
実は死んだ振りをするつもりなだけだったのではないか?
大量の血をみているところで目が覚めた。
しばらく前にも目の前で人に死なれた夢をみているので、
関連があるかもしれない。
ないかもしれない。
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